KUROMIMIには本が足りない。

KUROMIMIには本が足りない。

活字がないとダメ系ヲタク。小説・音楽・詩・ときどき映画。自作の小説も書いてます。

小説・海のなか(36)

前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com ※今回は海のなか(35)と(36)は連続更新になります。近日中に(37)も更新予定。 *** 無理に走り出したせいで、走り方はまだどこかぎこちなかった。さっきまでのあまりにも自分らしくない強引なやりとりに、い…

小説・海のなか(35)

前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com *** 見つかってしまった、と思った。 今だけは誰にも会いたくなかったのに。けれど、よく考えてみれば会わないはずがないのだ。陵の家はこの神社を抜けてすぐだった。そんなことすら頭から抜けてしまうほど考えに…

授業の裏側・ブックトークについて。

学校図書館司書の仕事⑤ ブックトークについて。 お久しぶりです。クロミミです。 前回の記事で「図書の授業」について語ったわたしですが、今回はその中でも特にブックトークに焦点を当てていきたいと思います。 よろしくお願いします。 さて。 まずはこの問…

図書の授業の裏側とは。

学校図書館司書の仕事④ 図書の授業 お久しぶりです。 クロミミです。 司書を生業とする私が今回も司書のお仕事について語ります。今回取り上げるのは、 図書の授業 これは皆様もご記憶にあるのではないでしょうか。 教室や図書室で小学校の頃に司書の先生が…

小説・海のなか(34)

前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com *** もう何度目かの物思いから回復すると、あたりは薄暮だった。つい先程までははっきりと見てとれた物の輪郭が一気に崩れ薄闇へ溶けようとしている。一瞬、自分の視力ががくんと落ちたかのような錯覚に襲われた…

小説・海のなか(33)

前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com 今までのあらすじ 高校2年生の少女、小瀬夕凪は海で遊んでいて、溺れてしまう。溺れた先で彼女はある不思議な「青」と名乗る少年と出会う。 結局、夕凪は数日後海辺に打ち上げられる形で発見され、日常へと戻る。し…

学校司書の仕事。その3 図書管理システム導入について。

今年に入って、こんなご質問を学校の先生方からよく伺います。 「図書管理システムを導入するメリットはなんですか?」 と。そんなわけで、今回は図書管理システムを導入するメリットデメリットに関して語っていきたい。今回は、学校図書館限定でお届けしま…

学校図書館司書の仕事 その2 蔵書整理編

どうも。 クロミミです。 今回は学校図書館司書の一つのお仕事に絞って詳しくご紹介。 今回から少し専門的なお話になります。 なかなかどんな仕事をしているのか分かりづらい部分が多い司書という仕事。この機会に知っていただければ幸いです。 今回取り扱う…

司書による、楽しい読書のすすめ。

どうも。クロミミです。 最近他の司書さんの書いている文章を読むのにハマっているのですが、noteで気になった記事がありました。 その記事の中で、「もともとゆっくり読むのが好きで、作業的に読むことに疲れて本を読むのが嫌になった」 と言うような内容が…

公共図書館司書ってこんな仕事。 その1

どうも。ご無沙汰してます。 クロミミです。 いやはや。休みは多いはずの今月、なぜかバテバテでやばかったです。連載小説もネリネリだけはしているのになかなか形にならず。終わりまで見通しを立ててから書きたいところなので、まだしばらくかかりそうです…

本をなぜ愛するか、と言う問題。

もう既にご存知の方もいらっしゃるかとは思うが、私は司書を生業としている。 色々あって今は、学校図書館司書だ。 今日、三つある兼務校のうちの一つで働いていると、小学生にこんなことを尋ねられた。 「どうしてそんな本を大切にするの?」 と。 私は言葉…

エッセイ・わたしとコロナ

最近そろそろコロナ禍に終わりが見えてきた。コロナの感染者が増えてもなんだか以前のような緊迫感はない。大方の予想通り、コロナは第二のインフルエンザと化しはじめている。 だからこそ言えるのだが、わたしはこの数年コロナ禍で困ったことがあまり多くな…

学校司書ってこんな仕事。その1

どうも。お久しぶりです。クロミミです。 現在司書として働いている私ですが、司書についての記事を書くと読んでくれる人が多いみたいだな〜と最近しみじみ感じます。司書というお仕事に興味を持ってくれている人がそれだけ多いということでしょうか。嬉しい…

いいから「ヨルムンガンド」を語らせろ。

どうも。クロミミです。 わたしには昔から大好きな作品がありまして。 それが、ヨルムンガンド。 作者は高橋慶太郎です。 あらすじは、 戦争と武器を憎む少年兵ヨナは、ある出来事をきっかけにココ・ヘクマティアルという女武器商人の私兵となることに。ヨナ…

九州旅行 最終日 帰りがけおやつ

今日は朝イチで帰る前にナガタパンに寄り道。 かわいいがすぎるぞ!!!買ったパンを我慢できなくてつまみ食いしたけど、うまい…! 帰り道食べながら帰ります。 ああ。お休みが終わってしまう。ツラ…。 クロミミははてなブログにて、「KUROMIMIには本が足り…

九州旅行 三日目 晩御飯

映画の後の晩ごはん。 居酒屋のラーメンを食べました。 食べたのは、 大重食堂のサイフォンラーメン。 うまい…! このお汁いくらでもいける!!コシコシの細麺とうまいチャーシューがたまらん〜。高いだけあるな!一杯1000円だからなっ! 圧倒的うどん派だけ…

九州旅行 三日目 お昼その2

お昼ご飯をこの日は2回食べたw 食べたのは天神の「ル・ブルトン」 ものっっすごい絶品でした。パフェとガレットをいただきました。 特にパフェ!! もう一個食べたい。是非次も来店せねば。クリームたっぷりなのに全然重くないピスタチオクリームにクッキー…

九州旅行 三日目 映画

この日はレイトショーを見ました。 むっっちゃ最高におもしろかった。 「リコリス・ピザ」ポール・トーマス・アンダーソン監督作品。 10歳差の男女の恋愛を描く本作。 ギャグも盛り盛りで常時爆笑してた。 とにかく演技がうますぎて、2時間以上あったのにの…

九州旅行 三日目 昼食。

旅行三日目は福岡。天神に行く前に牧のうどんで一杯。 福岡のうどんはプワプワで汁をたっぷり吸っています。 いつも食べるけどやっぱりおいしい。 上に乗せたごぼうの天ぷらもカリッとおいしい…。 クロミミははてなブログにて、「KUROMIMIには本が足りない。…

九州の猫たち(湯布院と別府)

九州旅行 番外 九州の猫たち(湯布院と別府)お触りオッケーでうちの猫より愛想いいやついるんですが…。(複雑な気分) 猫成分が順調に補給されている。 いいかお前らよく聞け。 人が生きていくのに必要なのはビタミンなんかじゃねぇ。猫という必須栄養素な…

九州旅行 2日目 夕食。

別府の晩御飯は、香凛。 中国東北部の家庭料理が食べられるこちら。 本当ーーーに美味すぎる。 特に、餃子と麻婆豆腐。 麻婆豆腐はパンと共にいただくと尚良しです。凛さんという中国の方が一人で切り盛りされています。 知らない異国の味なのに、なぜか和ん…

九州旅行 二日目 コーヒー。

別府の「喫茶店なつめ」にてお茶しました。 ここで飲んだ、温泉水コーヒーが最高に美味かった。 雑味ないし、変な苦味もクセもない。 しかし旨味とまろやかさはある。 ブラックコーヒー苦手な人もごくごく飲めちゃうと思います。 淹れるのに使った温泉水もち…

九州旅行 二日目 朝ごはん。

一日目の宿は、湯布院の「やまなみ」でした。綺麗だし、おしゃれだし、別館には源泉掛け流しの内湯があるし。 最高やんけ。 朝ご飯も美味しかった。だんご汁と温泉卵が美味しすぎる…! 無茶苦茶おすすめです。 ストーリーズでもより詳しく内観など紹介してま…

九州旅行 一日目 夕食。

九州旅行 一日目 夕食編 この日の夕食は、期せずして7000円のフルコースを食べることに。 最初は値段の高さにばかり目がいっていましたが、食べ終えてみると納得のお値段どころか、あれ???これめっちゃ安くね??ってなる。ふしぎ。 満足感のかたまりでし…

九州旅行 一日目 おやつ編

九州旅行 一日目 おやつ編 本日のおやつは湯布院の天井桟敷へ。 やたら高い酵素ジュースなるものを頼んでみた。(一杯千円。高い…!)ただのミックスジュースかと思いきや、矢鱈と複雑な味わいで魅了されてしまう美味しさ。 酸味が好きな人は絶対ハマると思…

九州旅行 一日目 昼食。

九州旅行中 一日目のお昼は、大分の 寶屋本店 へ。 もうここのちゃんぽんがありえんほどうまくて今までの人生で培ってきた語彙があらかた吹き飛ぶ威力だった。 とにかくすごかった。 もうあれはちゃんぽん超えてる。たからやのちゃんぽん、という別の何かだ…

九州旅行 一日目 美術館編。

九州旅行中です。 一日目は湯布院。COMICO ART MUSEUM YUFUINへ。 もーーー最高すぎる。草間彌生(撮影禁止だった残念。)とか村上隆とかの作品がてんこ盛りで楽しすぎた。ちょうど誰もいない時間帯で貸切状態でした。最高すぎる…。 建築物としても隈研吾の…

覚悟を決める、が得意技。

最近気がついたのだが、どうやら私は覚悟を決めること、が得意らしい。 私は現在、正規図書館司書である。 特に突出した能力はないし、勉強だってできない。要領も悪ければ、視野も狭い。苦手なことも多すぎて数えきれない。(得意なことは片手で足りる。泣…

エッセイ・「無口の余白にあるもの」

わたしはかつて、無口な子供だった。 友人に話しかけられてもうまく答えられず、口を閉ざした。周囲の言葉は理解し難く、隔たっていた。まるで私以外が宇宙人であるかのように。まあ、他の人にとってはそんな私こそが宇宙人的であったかもしれない。 ところ…

エッセイ・『明星』

その日はひどく疲れていて、かなり早く床に着いたのを覚えている。 ところが、なかなか寝付けない。家族の生活音を遠く聞きながら、何度目かの寝返りを打った時、こんな会話が始まった。 「大変ご迷惑をお掛けいたしました」 「いえ…早くご対応いただいてあ…