KUROMIMIには本が足りない。

KUROMIMIには本が足りない。

活字がないとダメ系ヲタク。小説・音楽・詩・ときどき映画。自作の小説も書いてます。

異世界に迷い込むような楽しさ。

どうも。クロミミ です。

なんとなく今夜は映画「ベイビー・ドライバー」のサントラとともにひさびさにまったりな予定。

三連休最後をまったり過ごしたい。

まったりついでにこの間わたしが出会った最高なカフェを語りたいなって思います。ついでに素敵な本との出会いも。

では、まずカフェから。

その名も「フォークロワ」

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岡山の表町の一角にあるカフェです。

座り心地のいいソファーと美味しいケーキがウリ。二階にあるので、眺望も素敵です。


私たちは通りを一望できる窓際の横並びのソファー席へ案内されました。

いい店発見機なお母様が連れて行ってくれました。ずっと行きたかったらしい。

わたしはチャイを。母はレモンシロップを、注文。ここのチャイはミルキーなまろやかさの中に、スパイスがちょっと効いててこれはこれでいいなって思いました。一緒に食べるスイーツの味を殺さない。

母のレモンシロップも甘すぎず、爽やかないいお味🍋


そして、
二人でパウンドケーキを分けっこ。みっちりとしてバターの香りがしっかりする。いい意味で手作り感のあるなかなかにうまきシロモノ。

添えてあるクリームもちゃんと動物性の生クリームでいい。

(たまに市販のチューブから絞ったまず〜いの添えてくる輩がいますが、正直爆発しろって思わんこともない💣)←たわ言乙。


半端ない癒し…もはやこれは…「岡山版ハライソ」と命名してさしつかえあるまいっ!?

と思うほどの超絶癒し空間。

ハライソというのは我が最愛のカフェ。尾道にあります。


例えるなら、ハライソが桐野夏生夢野久作。フォークロワは小川洋子山尾悠子といった感じかも。


↑例えのわかりづらさやばww


近代的で明るく包み込む癒しのフォークロワ。
底知れぬ闇に酔いしれる、正体不明なハライソ。


あなたはどっち?
↑心底どっちでもいいw

 

ところで。
このカフェでくつろいでいる時、母がある一冊の文庫を手渡してくれました。


それが今回紹介したいこちら。


ラピスラズリ
山尾悠子
ちくま書房

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これをカフェでまったり中に少々読んだのですが、なかなか良い。母の話によると、岡山の作家らしいです。

読んでみたところ、
読み味は小川洋子×円城塔って感じ。

小川洋子の静謐さと円城塔のやかましくないクレイジーさが混じり合った感じかな。

冒頭部のあらすじはこんな。

語り部である「わたし」はある一枚の銅版画を立ち寄った画廊で見つめていた。すると気味の悪い画廊の店主が話しかけてくるーーー。
そう。幼かったあの時と同じように。

この画廊を訪れるのは初めてではなかった。あの頃のわたしは男にもかかわらず女の子の服を着せられ、この場にいた。あの母とともに。

あれから長い年月が経った今、わたしは再びこの銅版画の前にいる。母の葬儀に向かう道すがら立ち寄ったのだ。

 


わたしが個人的にツボなのは、この語り部が異常なまでに感傷的でないところ。そして、母が我が子に対して放置的な一方で、支配的な気配がするところ。


まだまだ読めてませんが、読むのが楽しみ。
どうしても続きが読みたかったので、帰りに岡山県立図書館にてハードカバー版を借りました。


よかったら皆様も御一読ください。

 

それでは、引用をしつつ今回はお別れしたいと思います。


「画題(タイトル)をお知りになりたくはありませんか」ーーー睡眠不足で赤い目をした画廊の店主はそのように話しかけてきたのだったが、その時わたしが壁際に立ち止まって眺めていたのは横並びに展示された三枚組みの銅版画だった。(中略)茫然とするほどひたすら眠く、ここに枕さえあればすぐにでも顔を埋めて眠り込んでしまうだろう、前後不覚に熟睡してしまうだろうと、風邪の引き始めのような寒気をうっすらと感じながら思った。
「画題(タイトル)をお知りになりたくはございませんか」
画廊の店主は最初そのようにわたしに話しかけてきた。


(「ラピスラズリ山尾悠子 より冒頭部を引用)


「ーーーーーー疑問とはこういうことなの。つまり人形狂いの奥方は城館のなかにいて、人形を好む冬眠者である主人たちは健在なのでしょう。すると、落ち葉の記憶を厭って焚き捨てさせる理由がわからない。きっとどこかに混乱があるのだわ。召使の反乱がすでに起きた後ならば、シャトーは使用人のものになっているのでは?」
頭上で母の若々しい声が喋るのを聞き流しながら、五歳のわたしはギャラリーの横手の壁に気を取られていた。
「ーーー画題(タイトル)を知りたいでしょう」

やがて耳に囁きかける声がして、わたしは赤く爛れた眼をした男の顔を見上げながら熱心に頷いた。お嬢ちゃんの格好をしているけれど、ほんとうは坊ちゃんでしょう。男はさらに囁きかける、頷くわたしの顎に再び人形の髪がさやさやと触れた。母の声はいつのまにか隣の喫煙室に移っていた。

(「ラピスラズリ山尾悠子 より一部を引用)

 

皆さんも、素敵なカフェをご存知なら是非教えてください~情報交換したいです。オススメの本とかも。

 

 

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