KUROMIMIには本が足りない。

KUROMIMIには本が足りない。

活字がないとダメ系ヲタク。小説・音楽・詩・ときどき映画。自作の小説も書いてます。

詩・「あなた」

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どこまでも続く海原を見ていると


どこかであなたが シャッターを切る音がした


これは あの時撮ったのかしら

気がつかなかった


砂浜を歩いた時の感触

今でも覚えているのよ


あれは波がひいた跡

どこまでもうねりが続いていた

 


砂浜がきらきらかがやいていた

おぼえている?

 

あれは貝殻のかけら

わたしは何度も夢中になって

掬っては滑り落とした

さらさらとした心地よさを

心に縫いとめるように

 


ねえ


あなたにはどんなふうに


わたしが見えているの


何を想ってわたしを撮ったの

 

いつもはなんにも言わない あなた


わたしを愛おしんでくれる あなた

 

いつかきいてみたいけれど


きっとわたしには無理

 

 

だから ただ抱いていよう

 


このあたたかなものを