KUROMIMIには本が足りない。

KUROMIMIには本が足りない。

活字がないとダメ系ヲタク。小説・音楽・詩・ときどき映画。自作の小説も書いてます。

連載小説・「海のなか」登場人物紹介

 



 

 

「海のなか」もいよいよ最終局面になってきました。以下の登場人物紹介を読んで完結までお付き合いいただけると嬉しいです。今回の登場人物紹介は今までのまとめ記事に載せていたものに大幅加筆しています。以下には「海のなか」(39)までのネタバレも含みますのでご注意下さい。

 

 

【海のなか あらすじ】

 

とある夏の日、少女・夕凪は海の底にて美しい少年と出会う。少年は夕凪と昔会ったことがあると告げて…。愛と執着の境目を描く群像劇。

 


【登場人物紹介】

 

小瀬 夕凪(おぜ ゆうなぎ)

 


 本作主人公。小瀬は父方の苗字。高校2年。B組。いつも無口な少女背中まである真っ直ぐな色素の薄い髪が特徴。細く見えて意外と剛毛。外見は白い肌に薄い身体で血の気がない。母の若い頃にそっくりらしく、そこがコンプレックスにもなっている。感情がなかなか表に出ないのもあり、同年代から敬遠されがち。今までの人生で友人らしい友人を持ったことがない。実家の近所には陵と紗也という幼なじみがいる。陵とは現在同じクラス。陵と紗也とは幼なじみではあるものの、これといった交流はない。あえて言うならば、二人の幼馴染は夕凪が珍しくフルネームを覚えている人物であり、その分特別と言える。前述の通り、他人の顔と名前を覚えることが極端に苦手。だが、あまりにも人と交流しないせいであまり気がつかれていない。というか、周りにも名前や顔を覚えられているか怪しい。名前を覚えた、と思った3分後に尋ねると影も形も忘れている。人の顔はざっくりとは覚えられるものの、似た印象の同じ顔に見える人が必ず身近に三人くらいはいる、とのこと。髪型が変わるともう分からなくなる。(尾崎陵の言)得意なことはない、と自認している。が実は歌が上手い。人前で歌うことはほぼないので知られていないが、祖母宅にいた頃は二人一緒によく歌っていた。

 実はおばあちゃんっ子。だが、そのことを本人はすっかり忘れている模様。自分の感情にも他人の感情にも疎い。自信がなく、それ故かあらゆることに前向きとは言い難い。交友関係が乏しいせいもあり、クラス内のカーストなどとは縁遠い。音楽好きの父と依存癖のある母を持つ。一人っ子。「青」と言う少年と幼い頃に出会っており、最近再会を果たした。

 

 

 

小瀬 眞琴(おぜ まこと)

 


主人公、小瀬夕凪の母。旧姓、高浪(たかなみ)眞琴。本作における諸悪の元凶。奔放な性格で周囲を巻き込み振り回すトラブルメーカー。己の優先順位を明確に持っており、また、優先順位を絶対に曲げることがない。だが、その一方で精神的には不安定になりやすく、いつでも自分を肯定して欲しいと願っている。精神的に幼く影響されやすい性質。碌でもない女だが、なぜか昔から男性を惹きつける。(ある意味では暴力的なほど魅力的)眞琴自身、自分のこのような特性にずっと振り回されている。    

本人は選り好みが激しく、そのため交友関係が広いとは言えない。結婚後は、夫・祐作(ゆうさく)にかなり依存している。なお、上記のような性格が災いして幼い夕凪をネグレクトしていた過去を持つ。実家に戻って以降も夕凪からは拒絶されているが、全く意に介していない。彼女にとって愛とは与えるものであって、与えられるものではないようだ。このような母親の振る舞いが長じてからの夕凪の人格形成に大きな影響を与えている。

 なお、夕凪が中学校一年時に祐作が他県へ単身赴任に出てからは再び精神的に不安定になっている様子。そのためか、今はひとり娘への依存を強めている。これに関して夕凪には拒絶されている。しかし、そのことを眞琴は気にもしていない。実母である幸子(こうこ)とは生来折り合いが悪く、真反対な性格。祐作と結婚した際に小瀬に名前を変えたのは、高浪の名前を忌み嫌っていたからというのもある。また幸子の死後、幸子と夕凪の関わりを知った。これにより夕凪に対して複雑な感情を抱いている。

 

 

 

 


小瀬 祐作(おぜ ゆうさく)

 


主人公・小瀬夕凪の父。一見して物静かで良識ある常識人。音楽鑑賞が趣味。守備範囲は意外にもゴリゴリの邦ロック。特にオルタナティブロック。妻・眞琴よりも7つ年上。

高浪眞琴一番の被害者。2年前から、仕事の都合で遠方へ単身赴任しているが、2週に一度帰省している。かなりの事故物件である眞琴と10年以上も連れそう超人。現在、妻のことは女として愛しているわけではないが、家族として庇護しなければと思っている模様。(恋愛脳と眞琴は相性が悪すぎるので、このくらいの方がよかったようだ)そして何よりも、妻から夕凪を守らなければならないと言う意識が強い。かつて、妻のネグレクトを止められなかった、夕凪の状態に気がつくのが遅れたと言う点において、ずっと罪の意識背負っている。彼の献身的な行為は、贖罪でもある。夕凪が幼い頃、親元を離れて母方の祖母・幸子(こうこ)のもとで暮らせるよう取り計らったのも彼である。ある意味優しすぎるが故に、自分も他人も傷つける人。善良ではあるものの、愚かではないとは言い難い部分もある。自分だけで決断を下すのは元々苦手。

 

 

 

 


高浪 幸子(たかなみ こうこ)

 


主人公・小瀬夕凪の祖母。小瀬眞琴の実母。

享年72歳。死因不明。12年前当時5歳の夕凪と共に行方不明になり、現在に至るまで消息不明。

 眞琴の実父とは真琴が幼い頃に離婚し、それ以来、女手一つで娘を育て上げた。

 眞琴の夫・祐作より、3歳になった夕凪を託される。なお、眞琴とは結婚の折に仲違いし、ほぼ絶縁状態だった。

 普段から険しい表情が多く、本人も若い時分はなかなか苛烈な性格だった様子。しかし、夕凪に対しては別人と思えるほど優しく接していた。それは、娘との関係性への後悔の表れでもあった。(このような夕凪に対する態度と眞琴に対する態度との差が余計に高浪親子の溝を深めたのは、言うまでもない)娘である眞琴は厳しく躾けられたようだが、残念ながら今ひとつ実を結ばなかった模様。幸子曰く、「真琴の中身は、別れた元夫に嫌になる程似ている」とのこと。

 夕凪がネグレクトを受けていることを知り、夕凪の引き取りを申し出る。生前は、夕凪がネグレクトされていることについて、自身の眞琴に対する教育のせいではないかと罪悪感をいだいていた。孫を積極的に引き取ったのも、以上のような経緯があったからだと思われる。実は熊本出身。時折訛りが混じることがあった。

 

 

 

 


 

青(あお)

 

 

 

海の底に棲む少年。容姿は整っており中性的。夕凪とその祖母、高浪幸子と何年も前に出会っている。夕凪と再会以降、夕凪を庇護し、その心を癒す。しかし、一方でその内心や狙いは謎に包まれたままである。また、何者かに使役される存在だということが作中で示唆されている。

 


 

尾崎 陵(おざき りょう)

 

 高校2年。B組。夕凪と沙也の幼なじみ。ひょろっと背の高い男子。高校になってから急に背が伸びたので成長痛がひどいのが常に悩みの種。わりと口下手であがり症。生来押しに弱い性格なこともあってか、頼まれると断れない。また、姉にこき使われたお陰で家事全般ができる。勉強はわりとできる方。生徒会副会長。仕事が溜まっていると我慢ならないのでついつい進んで仕事をしてしまう。仕切り屋気質ではないはずなのに、気がつくとそんな立場になっていて本人的には不本意らしい。趣味は読書。毎週末に市の図書館へ通うのがささやかな楽しみで、生徒会に入れられていなかったら図書委員になっていたはずだった。(現会長に勝手に推薦された模様)わりとなんでもできて器用だが、飛び抜けて得意なものはない。本人の能力は周囲から押し付けられる色々な責任に耐えられる程度に高いながらも無自覚。周囲に一目おかれているものの、もともと表立って動くことが苦手なので縁の下の力持ち的ポジションにいることが多い。それ故か、実際の活躍を知る者は少ない。誰かとケンカになっても戦わないし、基本勝てないし、勝たない。だがそれでいいと思っている。優しい性格だが頑固。優秀な姉を一人持ち、幼少から尻に敷かれて生きてきた。そのせいか自己評価は不当に低い。

 

 

 

尾崎 奏江(おざき かなえ)

 


 陵の3歳年上の姉。現在地元の国公立大学に通っている。文武両道だが、努力というほどのことはしたことがない。そのためか、何事に関しても飽きっぽい。趣味は人間観察と他己分析。何処か浮世離れしたような雰囲気を持つ美人。文化人類学を大学で学ぶ。院に進むことを検討中。いつも笑っていて感情が読めない。凄まじく頭が良く、冷徹だがそれによって得をしたことがないある意味不幸な人物。元々社会的な評価に一切の興味関心がないので、勉強や運動が出来ようと何の意味もないらしい。

 「他者は最大の娯楽」と思っている節がある。的確な助言をいろいろな人に与えることがあるが、その結果がどうなるかには責任を持たない。化学実験を見守る科学者のような目線でその成り行きを見守るのが趣味。一方で他者との直接的な交流に悦びを見出すことができない。10歳ごろこのような特質を自覚してから、自分自身を世界の異物として認識するようになった。そのため素直に感情を表したり、実直に他者と交流できる陵に対して密かに劣等感を抱き、同時に深く愛している。

 弟を玩具して遊ぶことが多い。好きなものに対しては構いすぎて嫌われるタイプ。大の猫好きだが、猫にも構いすぎてすぐ逃げられてしまう。

 

 

 

木下 沙也(きのした さや)

 

 高校2年。A組。陵と夕凪の幼なじみ。気の強い性格でせっかち。ちょっと捻くれていて、なんでも斜に構えがち。夕凪と陵とは就学前からの付き合い。生徒会書記。クール振りたい反面、行事ごとなどが割と好き。自分で思っているより感情や考えは表に出やすいタイプ。頼りない兄が一人とかわいい弟と妹が一人ずついる。しっかり者の長女で冷淡になりきれない人情家。面倒見が良く、正義感の強い姉御肌だが、人を頼るのは苦手。家事全般に加え、金勘定に長ける。ただし、食にあまり興味がないため、料理は必要最低限しかできない。自分が要らないと思った項目にはギリギリまでリソースを割かない主義。節約のため塾に通ったことはなく、自力で成績をキープすることに情熱を注いでいる。学年首位の座を争う相手である生徒会長を目の敵にしている。努力すれば大概のことはなんとかなるし、してきた。本作最後の良心。(多分)陵の姉とは仲が良く、頻繁に連絡を取り合っている。

 

妹尾 愛花(せのお あいか)

 

高校2年。A組。歳の離れた兄を持つ美少女。沙也のクラスメイトで友人。テストは毎度赤点ギリギリ。だが、なんだかんだ補修を受けたことは一度もないらしい。自分の容姿がどう見られているのかには自覚的。おしゃれが好きだが、元々はめちゃくちゃ不器用。いまだにマスカラが苦手だったりする。中身は外見を裏切っているかもしれない。実はめちゃめちゃ空気が読めるし、勘も鋭いが、大体は面倒なので鈍いフリをしている。外面がよく内弁慶。外ではそう見せないが、本性はわりと冷淡で理知的。オンオフの差が激しく、信頼した相手にしか本当の顔は見せない。自然体で場を掌握していると他人からは思われがちだが、ある程度計算ずくで行動している。しかし、それを悟られたことはほぼないらしい。基本的にわがままで面倒臭い女。(一馬評)一馬とは中学からの仲。沙也とは高校2年になってから仲良くなる。こっそりコンビニおつまみにハマっている。

 

 

五十嵐 一馬(いがらし かずま)

 

 高校2年。工業高校に通う。愛花の中学時代の友人。相当な甘党でコンビニスイーツや菓子パンのチェックは怠らない。いつもどこからかとんでもない激甘パンを仕入れてくる。

 勉強は好きではないがそこそこできる。物を作ったりすることが好き。リアリスト。本作で一番精神年齢が高そう。感情があまり表に出ないので、怖いとか怒っていると言われてしまうことを内心ものすごく気にしている。中学まで野球をやっていた名残で未だに丸坊主。(父親を見て間違いなく早々にハゲると思っているので、今更何か髪型を考えるよりこのままいっそのことスキンヘッドに移行した方が楽かもしれないと思っているとかいないとか)中学以来、愛花に振り回されて気苦労が絶えない。何かにつけて苦労するタイプだが、進んでそのような環境に堕ちていくきらいがある。なので、ややマゾヒストかもと自分で思い始めている。

 洞察力に優れて、気配りができる。弟が二人いる。親戚に女の人が多いので、女性のあしらいに慣れている様子。ピアスホールを開けては放置して塞がってを繰り返している。

 

 

 

 

 

こんなメンバーが群像劇を繰り広げる本作品も終わりが近づいています。ここまで長かった!わたしもゴール地点への道のりがはっきりと見えたので、あとは突き進むだけ。着地は始めた時から決めています。

よろしければお付き合いください。「海のなか」の全話にはページ上部の海のなかタブより飛ぶことができます。

 

 

海のなか 第一話はこちら。

 

 

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最新話はこちら。

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