アキラ 四章
前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com *** 退院が近づいてくると、姉は言った。 「3日後に部屋へ来るように」と。それはまるで独り言のようだった。告げる時、姉は窓の外を眺めたままで一度もこちらを振り向かなかった。頬のなだらかな曲線。俺はその…
前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com *** 赤黒く固まった血に塗れた敷物をゴム手袋越しに触ると、ずっしりとして重かった。そうしてその下から出てきたのは大量のペットシーツだった。犬猫が排泄をするときに下に敷くあれだ。夥しい数のペットシーツ…
前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com *** 目覚めると、白い蛍光灯が縦に伸びているのが見えた。消毒液の匂いが鼻をつき、今自分が何処にいるのか分かった。格子状の白いパネルを嵌め込んだ天井には見覚えがあった。以前入院した病院と同じだ。その光…
前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com 第四章 彼女が望む理由 珍しく向こうから連絡を寄越したのは、帰省が終わってすぐのことだった。その内容は簡潔で「部屋の片付けをするから今週は来るな」ということらしい。今更部屋が片付いていないことを気にする…