KUROMIMIには本が足りない。

KUROMIMIには本が足りない。

活字がないとダメ系ヲタク。小説・音楽・詩・ときどき映画。自作の小説も書いてます。

2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

読書に「遅すぎる」など絶対にない。

先日職場の同僚N氏と雑談していた時、普段本を読まないはずのN氏がこんなことを言っていた。 「最近、なんだか本を読むことが楽しくて。でもこんな年になってからおそいよね、恥ずかしい」 彼女はわたしよりおそらく20以上は年嵩で、多分母と同じくらいの年…

小説・海のなか(2)

前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com 第二章 嵐の日には わたしが浜辺で発見されたその日から予報外れに天気が崩れ、退院し学校に行く頃には嵐が街を襲った。陸に帰ってきてからずっと、とめどない雨音がBGMのように耳元で囁いている。 雨は好きだった。…

優れた文章は読者を受動的にしてしまう。

先日、私は遅読派だという話をしたと思う。 kuromimi.hatenablog.com しかし、実際の私はゆっくり読むこともあれば早く読むこともある。 なぜこのような食い違いが起こるのか。 それは私の読書が一段上の段階に上がったからではないか、と内心ほくそ笑んでい…

読書を何倍も楽しむ、遅読のススメ。

本を読むのが好きな人ってどんな人を想像しますか?山ほどの本をあっという間に読んでしまう人のことをいう、と多くの人は思うのではないでしょうか。 わたしは遅読派です。でも本を読むことを愛しています。 今回はそんなわたしの読書の楽しみ方について語…

小説・海のなか(1)

登場人物名にミスを発見したため、再投稿させていただきます。 第零話 プロローグ あれからもう随分と永いあいだここにいるような気がしている。 いまが一体いつなのか、もうわからない。 それほど時間が経ったのだ。あの時から。すべてを曖昧にさせるほどの…

日本人の情感は割と乾いている、と思う。

クロミミ的コミック 第三弾。 青年漫画編。 最近多忙を極めていた故、前回のクロミミ的コミックからかなり間が空いてしまいましたこと、誠に申し訳ござらん。 需要皆無を覚悟しつつ、今回も語っていくぜっっ!最後まで振り落とされずについてこいよぉ〜!← …

音楽に言葉をのせる=魔法をかけるということ。

なんだかここ数日、ブログを見てくださる方の数が少しずつ増えてきて嬉しいです。ありがとうございます。よかったら話しかけてくださいね。泣いて喜びます。 また、ブックマークをつけてくださった際にコメントを下さった方がいらっしゃったのですが、すみま…

オマージュとパクリを分かつものとは。

どうも。 クロミミです。 こないだ友人と、サイモン&ガーファンクルのスカボロフェアがマジで呪術だって話をしてたら、なんだか音楽について語りたくなってきたので、今夜は音楽についてのんびり語ります。気が向いたらお付き合いくださいませ。 わたしは音…

小説・或る夢

夢の中で彩夏は父を殺した。 いや。あれは自殺だった。そのはずだ。 汗に湿ったシーツはまとわりつくように思考を束縛する。まだあの夢から醒めきっていないためかもしれない。頭の中では今しがた見た夢が断片的に浮かび上がっては消えを繰り返していた。気…

小説・夜を待つ少女

二一時を過ぎた頃、わたしの街は眠りにつこうとする。昼間は街で一番のにぎわいを見せるこの交差点にさえ沈黙が訪れて夜が深くなる。そのなかで、こわれたように点滅し続ける黄色い信号のひかりをぼんやりと眺めているのがわたしは好きだった。 通りにはほと…

世代を超えて愛し続ける不朽の名作。

今回ご紹介するのはこちら。 「夜の蝉」北村薫 創元推理文庫 こちらは、以前クロミミ的ブックにて紹介した「空飛ぶ馬」に続く、円紫師匠と私シリーズの第2巻。 「空飛ぶ馬」も好きですが、「夜の蝉」はもっと素晴らしい。 「円紫師匠と私シリーズ」は女子大…