KUROMIMIには本が足りない。

KUROMIMIには本が足りない。

活字がないとダメ系ヲタク。小説・音楽・詩・ときどき映画。自作の小説も書いてます。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

詩・「春の長夜」

水の匂いがした 夜の匂いだ だれかがひんやり 運んできた 生温くない 春 花冷えはとうに過ぎて 花の色も青くかわる 街灯の灯は さめざめと降り 夜のしじまを 煌々と白くする わたしの鈍い歩みだけが刻まれた 曇天の夜 こんなにも冴えない夜なのに 夜の黒は美…

ジッタスクワットって知ってるか。

お久しぶりです。クロミミです。 皆様はジッタスクワットという彫金作家さんをご存知でしょうか。 実は最近クロミミはクリーマなるハンドメイドアプリを始めたんでござるが。そこで出会ってしまった最高な作家さんについてちょっと語りたい。 上から、ジッタ…

好き嫌いと尊敬できるかは別。

今だから言えることを言いたいと思う。 実はある上司がこの上なく嫌いだった。 なぜなら彼は善いひとだったからだ。 私は善人が嫌いだ。善良であることを尊び、すべての人が和を重んじると心から信じている人間が大嫌いだ。 なぜなら、私はなぜか常に善人か…

詩・「欲しい」

あの時味わった 幸福な味を 私は今でも忘れられないでいる あの味はどんな味だったかしら 時々 尋ねられることがある。 一体何がそんなに欲しいの、って そんなのわからない わからないけど欲しいんだもの 本当は欲しいものなんてないんでしょう、 なんてい…

小説・海のなか(6)

前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com ※※※ 駅前の寂れた商店街をまっすぐに抜け、小さなトンネルを潜ると坂の上に市立図書館が現れる。濃い樹木の緑に石壁の白が夏の光に照らされて映えている。坂の下から図書館を見上げるのが好きだった。ふとした瞬間に…