KUROMIMIには本が足りない。

KUROMIMIには本が足りない。

活字がないとダメ系ヲタク。小説・音楽・詩・ときどき映画。自作の小説も書いてます。

小説・海のなか(1)

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登場人物名にミスを発見したため、再投稿させていただきます。

 

 

第零話   プロローグ

 

 

 

あれからもう随分と永いあいだここにいるような気がしている。

いまが一体いつなのか、もうわからない。

それほど時間が経ったのだ。あの時から。すべてを曖昧にさせるほどの永い、永い時が。

わからないことだらけだ。

私は誰なのか。

私の名前はなにか。

私を知っている人はいるのか。

そして、私は生きているのか。

ここに来る前に私は多くのものを失ったように思う。失ったものについて考えるたび奇妙で空虚な喪失感がどこかで渦を巻く。でも、それだけだ。この胸には悲しみも喜びも苦しさも、何もない。

ただ確かなことはひとりの少年がこの場にいたということだけだ。

わたしはもう彼の表情を思い出すことができない。

ただ、これだけはわかる。

彼は私を残して消えてしまったのだ。

ここには誰もいない。名も知らぬ何かが漂い、出口を求めてさまよっている。

もしも。…時折考えることがある。

 

もしも、誰かが来てくれたなら

そのこは私の終わりになってくれるだろうか。

次の私になってくれるだろうか。

いつかのわたしのように。

 


わたしはそのときをずっと待っている。時間の止まったこの場所で。

ずっとずっと待ち続けている。

 

***

 

第一章  海の中

 


『はやくきて、夕凪』

  高校二年の夏のある朝、不思議な声が感覚を撫でていった。

  瞬間、すべてを忘れた。これから海に行くことも、となりの友人の存在も、いま駅のホームに立っていることさえも。

   妖しく、美しい声だった。一度聞いたら忘れられない危うい響きが、まだ耳の奥ではリフレインしていた。

『まもなく、列車が参ります。危ないですから黄色い点字ブロックの内側まで下がってお待ちください』

  唐突に澄ました文句が現実感いっぱいに耳に飛び込んできた。駆け込んでくる電車の列に不思議な残響が連れ去られていく。あっと声が出るほどあっけなかった。

  なにかを忘れているような気がした。罪悪感がちくりとする。とても大切なことだったような気がしたのに。不意に隣を見ると愛花と沙也が陵を挟んで話していた。今日も何にもない普通の日なんだろう、と安心している自分がいる。

  「なあ、夕凪はどう思う?」

陵がくるっとこちらを振り向き尋ねた。自分の顔のこわばりを感じる。なんの話をしていたのか、全然分からなかった。そもそも会話に加わっているという意識すらなかったのだから、当然といえば当然だった。悪い予感がじわじわと這い上がってくる。今日だけはうまくやろうと決めたのに。

  慌ててわたしは口を開いた。

「陵、ごめ…」

  大きな音を立てて電車が滑り込む。わたしの小さな声は散り散りになってしまって、言った本人ですら、発声したかどうかもおぼつかない。そっと伏し目がちに様子を伺うと、誰もこちらを見てなどいなかった。どうやら答える必要は無くなったようだ。

  すっと視線を下げる。小さなひとつひとつに傷ついている自分に嫌気が差した。別にいじめられたわけでも意地悪されたわけでもない。ただわたしが重要でないだけ。いつも、どんな時でも。

 電車が起こした強い風に煽られて、麦わら帽子が飛んでいきそうになる。慌ててぎゅっとつばを下げるととたんに視野が狭くなった。

「夕凪」

名前を呼ばれて顔を上げると陵が心配そうな面持ちで見つめていた。

「電車出るよ、早く」

   泣いているように見えただろうか。そっと目元に触れてみる。しかし涙の気配もなく乾いていた。そうしてそうか、と密かに結論した。

きっと、すべてを諦めているから濡れないのだ。

わたしは薄く苦笑して電車のステップを踏んだ。

『ドアが閉まります。ご注意ください。』

間延びしたアナウンスが後を追って聞こえる。

 


***

 


列車内はがらんとしていた。日差しだけがさんさんとさして空白を強調しているみたいだ。なんだかさみしい。まるで言い訳しているみたいだ。適当な席に腰を降ろすと、愛花と紗也はまた陵を囲んで話しはじめた。今度は好きなバンドのハナシらしい。愛花が嬉々として熱弁している。わたしも今回はちゃんと話を聞いておこうと耳を傾けていたけれど、ふと気づく。そういえば、わたしはあんまり音楽を聴かない。この話題に入り込むのはむずかしい気がする。異国語のような三人の会話が少し遠くで聞こえた。いつもわたしはこうだ。みんなの時間とわたしの時間は速さが違う。一人だけ停滞している。そして、わたしを置き去りにしていることにすら、きっとみんな気がついていない。

 楽しそうな三人を横目にふと思う。そういえば、なぜ私はここにいるのだろう。陵だ。陵がわたしを誘った。いつもそういう気の使い方をするのは決まって陵だった。今日この場に来たことをわたしははやくも後悔し始めていた。ひどく自分を滑稽に感じる。誰もわたしを疎む素振りすら見せないことが、余計にわたしを辛くさせた。わたしを今この場につなぎ止めているのは陵の誘い。それだけだった。

『夕凪もいくだろ?』

   そう言って笑った陵の顔が過ぎる。口に苦いものが広がる。何度もぶり返すようなあの味。わたしはこの迷路からもう抜け出せないのかもしれない。麻痺してしまっているから。窓にだらしなく頭をもたせかけたまま、そんなことばかりを考え続けていた。

電車の中にもたまに視線を向けてみるけれど、誰とも目が合わない。お互いに目をそらし合って俯いている。みんなひとりぼっちみたいに見える。それを眺めている私もなんだか粘土でできた人形みたいににぶい。意識も宙に浮いたままひどく曖昧だった。窓から見える風景はあまりにも単調で眠くなった。電車の振動がゆりかごのようにわたしをあやす。電車がひとつ身体を揺するたびに、わたしの意識は曖昧になってくる。柔らかな繭に包まれて、わたしの瞼は少しずつ閉ざされる。

——ああ、みんな水着の話とかしてくれないかな。そうすればわたしだって話せるのに。

膝の上に置いた堅いビニールバックを抱きしめると、情けない音できゅうきゅう啼いた。いつの間にか、窓からは青い海が見えていた。澄んだ青は見つめていると、吸い込まれそうなほど深い色だ。波の表面は滑らかで美しい絹のように見えた。

「あっ海!」

「わあっ、きれい!」                       

愛花と紗也が席から立ち上がって窓に張り付く。はしゃいだ声が虚ろな車内に弾ける。照りつける日差しが白く目に突き刺さって、わたしは思わず目をほそめた。

        ***

 水着に着替えてみると、なんだか急に恥ずかしくなってきてしまった。おなかのあたりがすうすうして落ち着かない。

となりで堂々としている紗也と愛花がうらめしく思える。ほんとうに海に来るのはいつぶりだろう。少なくとも中学校に上がるよりも前のはずだ。急に、あの頃のわたしの形が遠くなって分からなくなってしまう。あのときのわたしと今のわたしは別物になってしまったのだろうか。知らず知らずのうちにそんなことを考えている自分に驚く。わたしは一体なにが欲しくてこんなことを考えたのだろう。今さら昔のことなんか考えたりして。いままで考えたこともなかったのに。なんだかしっくりこない。自分以外の誰かが『わたし』になりすましているみたいに。

「夕凪! 」

 気がつくと三人の背中は遠くにあった。愛花が頭上にバレーボールを掲げているのが小さくみえた。みんな笑っている。それだけで許された気がした。

「いまいく」 

   駆け寄っていくと既にバレーボールは始まっていた。宙を舞うボールにわたしはおびえてしまう。昔から運動が苦手だった。ましてやバレーボールなんて今までただの一度もボールをまともに上げられた例しがない。いつもわたしのボールは地面に落ちるか、あさっての方向に飛んでいく。足は地面に張り付いたみたいに動かないし、手は冷えて感覚が鈍い。楽しそうに遊ぶ三人のことが、まるで別の世界の人みたいに遠く感じられる。心がみるみる惨めな色で塗り込められていく。ああ、どうしようもない。

「夕凪」

  呼ばれて顔を上げると、ひときわ高いボールが白い太陽に呑みこまれながらわたしめがけて落ちてきていた。遮るように、空に手をかざす。けれどボールはそんなのお構いなしにすり抜けてわたしの額にぶつかり、海の方へと跳ねていった。

「っあ! 」

   痛みで涙が滲む。泣いていると思われるのは嫌だった。俯いて素早く踵を返すと、海に着水したボールを取りに走る。早くしないと、どんどん沖に流されてしまう。

「だいじょうぶー?」

みんなの声が背中に追いつく。振り払うように無理矢理明るい声で返事をした。

「平気、平気!」

もっと速く走らなきゃ。気がつかれないように。一目散に海に入るとツン、と潮の香りがする。顔についた水滴が容赦なく塩辛かった。喉が痛み始める。息がうまくできない。身体もいうことを聞かないみたいだ。

  いや、本当はちがう。ーーー私自身が拒絶しているのだ。あの場に戻ることを。その時、身体の芯が冷えていくのを感じた。なぜ、戻らなければいけないの。戻っても与えられるのは苦い蜜ばかりだ。その時、左足を強い力で誰かが摑んだ。

「えっ?」

「何か」から逃れようと足をばたつかせても、びくともしない。どんどん海の中に引きずり込んでいく。

「たすけて」

    息苦しい小さな声が漏れる。同時に視界がエメラルドグリーン一色に染まる。美しさにくらくらと目眩がした。息を吐き出すと大きくて緩慢な水泡が生まれて、胸がきりきりと苦しくなった。泡の行く末をぼんやりと目で追いながら、頭の片隅で思う。これで自由になれるのだろうか。いっそその方がいいのかもしれない。だって今何も、誰も浮かんでこない。誰にも会いたくない。何も欲しくない。あの世界にあるものは何も。

    だんだんと目の前が暗くなっていく。わたしはその瞬間全てをあきらめた。それきり意識は途絶えた。

 


***

 


   どこかからかやってきた潮の流れがわたしの頬を撫でた。曖昧な意識でも海中が穏やかなのが分かった。ああ、この場所はわたしを拒絶しない。すべてから逃れられる。自分のゆっくりとした呼吸を感じる。呼吸?わたしは海で溺れたはずなのに。疑問がわたしを少しずつ覚醒させた。身体の中心から徐々に感覚が広がっていく。誰かがわたしの髪を優しく梳いている。慈しむような手。不思議と怖いとは思わなかった。それどころか、手から与えられる感触にもっと身を委ねていたいとさえ思った。そう。わたしはどこかでこの感覚を知っている。小さい頃だ。それも、こんな場所でじゃない。もっと身近な。でもだめだ、思い出せない。

     手が優しければ優しいほど切なくなった。こんな安堵は地上に戻れば二度と手に入らないだろう。瞬間大きく心臓がはねた。胸をつく懐かしさがこみ上げる。いや、これは懐かしさなんて生易しいものじゃない。渇望だ。内から突き上げる感情に思わず目を見開き、身体を起こした。すると、すぐ近くから少年のような声がした。

「やっと起きた。気分はどう」

    声のする方を振り向くと、頭がひどく痛んだ。視界が歪み、ぶれる。わたしは呻くように訴えた。

「あたま・・・いたい」

「そうか。久しぶりだから身体が馴れていないのかもしれない。大丈夫。そのうち馴れる」

 見知らぬ少年はいいながら、そっとわたしの頭を撫でる。その手の感触には覚えがあった。少年はほんの少し髪に触れてすぐに手を離してしまう。まるで何かを恐れているようだ。壊れ物を扱うような恐れが僅かに触れた手から伝わってきた。ややあって、わたしは尋ねる。

「・・・髪を触っていたのはあなた?」

「ああ」

   少年は返事すると、何かもの言いたげな目をした。視線がぶつかる。その時初めてわたしは彼の姿を正面から見た。決して華やかではないが、目を惹く憂いを帯びた端整な顔立ちをしている。彼の白い肌が暗い海の中で浮き上がって見えた。まるで光を放っているようだ。少年の艶のある黒髪がより一層肌を白く見せている。こんな人間を今まで目にしたことがなかった。そしてその特異な印象は、単に優れた容姿のみに原因するわけではなさそうだということが一目で見てとれた。わたしは固唾を呑んで、目の前の人物を食い入るように見つめた。少年はわたしの視線に気がついているのかいないのか、微笑みかけた。

「夕凪、君はちゃんと生きてる。ただ、ここで息ができるように少し仕掛けはしたけれどね」

「・・・あなたは誰?」

 こんなに何かを知りたいと思ったのは初めてかもしれない、と心の中で思った。そうだ、こんな場所に人がいるはずがない。ただの人が。それに彼は人というには奇妙で、そして美しすぎた。急に怖くなった。この場所で息ができるようになったわたしもまた「ただの人間」ではないのか。指先が急に冷えてたまらなくなった。

「僕は青。ここにずっと棲んでいる。夕凪、安心するといい。君は人間だよ。どうしようもなくね」

 わたしの心を読んだような言葉に息が詰まった。見透かされている。

   青に「夕凪」と呼ばれるたび、どこか喜んでいる自分がいる。目覚める間際の感情が何の前触れもなく甦る。まるでずっと欲しかったものが今目の前にある、とでもいうように。わからない。わたしは知らなさすぎる。さまざまなことを。

「そういえば、わたしの名前・・・」

「ああ。君のことは昔から知っている。君が幼い頃から」

青はわたしと同い年くらいに見えるのに、その目はひどく大人びていてアンバランスだった。彼は慈しむように言った。

「・・・・・・大きくなったね、夕凪」

 また、ちりちりと理解できない感情が胸を焦がす。胸の上でぎゅっと片手を握り締めてわたしはいった。

「ここは、海の中なの?」

「そうだよ」

「帰らなきゃ」

 自分の言葉が空々しく耳に響く。本当にそうだろうか。あの時あんなにも簡単に全てを手放したのに。なぜ今になって。あの世界もわたしを必要としていないのに。出口の見えない問答がわたしを支配する。地上にわたしの心を繋ぎ止めるものはほとんどなかった。今会いたい人がいない。両親とは疎遠だし、心から友達と呼べる存在もいなかった。それなのに今、身体いっぱいの喪失感で息が苦しいほどだった。身体中で心臓の音を聞きながら、わたしは理解する。本当に全てを失ったのだと。あそこしかわたしの帰る場所はない。希薄な関係性とちっぽけな世界がわたしの全てだった。そして、今度はそれすら失ったのだ。

 「ふううっ」

 無様な声と一緒に涙が溢れる。けれど、すぐにもっと濃い塩水に紛れてわからなくなってしまう。わたしの悲しみを逃す手立てはなかった。海の中で泣くことはできない。だから、苦しみが癒える事もきっとない。わたしの方を一瞥すると、青はつぶやくような声で言った。

「…帰って欲しくないな。だってずっと待っていたんだからね」

「待っていた」という言葉にギクリとする。喜びと恐れのようなものがない交ぜになって押し寄せる。足を掴んで引きずりこまれた時の恐怖が何処かからか滲んできた。わたしを溺れさせたのはこの青という少年なのではないか。不意に疑惑が頭をもたげた。なぜこの可能性を一度も考えなかったのだろう。いや、考えたくなかったのだろうか。もう、恐怖と喜びの境目がわからない。

「君が初めてこの場所に足を踏み入れた瞬間から、僕は君を感じていた」

   青の声色は穏やかだった。しかし、その背後には押し込められた隠しきれない思いの気配が漂っていた。

「どのくらい?」

    別に、問いの答えが知りたいわけではなかった。未知の感触に腹の底が疼いた。本当は怖くて仕方がないのに、どうしようもなく引き寄せられる。青のガラス玉のような瞳にわたしが映り込んでいた。もう一度繰り返す。今度はゆっくりと噛みしめるように。

「どのくらい、まっていたの」

  その時初めて青の笑みが溶けて消えた。真顔になった彼の顔は作り物めいていて、まるで精緻な人形のようだった。彼の赤い唇が滑らかに動く。

「千年」

「千年まっていた」

「僕は千年の孤独に耐えて、君を待っていた」

   それきり青は何も言わなかった。青の存在は知らぬ間に消える泡のように儚かった。それなのになぜか彼の言葉はわたしの心からいつまでも消え去らず残り続けた。もしも、青が想像もつかないほど昔からここにいるなら。彼の時が止まってしまっても何もおかしくない気がした。子供が子供のまま永い時を生きてきたかのように、青の印象はちぐはぐだった。

 ああ、どんどん正常がわからなくなる。わたしはいま、自分で考えているのか。それとも、考えさせられているのか。

「嘘だよ」

唐突に青は言った。嘆くような微笑みを浮かべている。

「え」

「此処には朝も夜もないから。時間の流れがわからない」

  そして、青は切ない表情をした。唇は微笑みを浮かべていたが、目元には憂いと遠い昔への郷愁が影を落としていた。青の言葉をめちゃくちゃに否定したくなる。そんなわけがない。どうやらわたしは想像以上に、彼の言葉を信じたがっていた。皮肉な笑みが口の端に漏れる。きっとわたしは「だれか」に待っていて欲しかったのだ。会いたい人がいないから。今までそんなこと考えもしなかったのに。それだけのことでわたしの心には苦いものが溢れた。つづく青の声はわたしの中の汚濁をかき消すように透き通って聞こえた。

「でも、これだけは信じて」

「僕はずっと君を待っていたんだ。気の遠くなるような永い時間」

    耳元で海の渦巻く音がする。わたしの安息が終わりを告げようとしていた。乞うような気持ちで少しでも長く今が続けばいいと本気で願ってしまう。こんな都合のいいこと、長くつづくはずがないのに。

「僕は此処で待っている」

「また会えるのをたのしみにしているよ。夕凪」

   どんどん耳鳴りが激しくなっていく。それに合わせて心臓が自分のものではないように乱暴に早鐘をうつ。

   目の前の青の姿が見る影もなく歪み、マーブル模様になる。青の言葉ばかりが幾度も耳の奥で響いた。

『まっていた』

    頭のどこかがキリキリと絞り上げられるように痛む。もう、何も見えない。耳は青の言葉を再生し続ける。

『まっていた』

  その言葉を最後にわたしの意識は再び途切れた。

   次に目が覚めると、目の前には病院の白い天井があった。わたしは海に行った日の二日後、浜に打ち上げられているところを救助隊に保護されたそうだ。目覚めた時には、溺れてから四日が経過していた。周りはまるでわたしが生き返ったかのように扱った。大人たちは口々に何があったのか聞きたがった。けれどわたしは決して青のことを誰かに話そうとはしなかった。話したところできっと信じられないだろう。わたし自身あの体験を一種夢のように感じていた。

   それでも、あれは本当にあったことだ。それを証し立てるように、事件以来わたしの左足には薄い青色の痣が残った。この痣だけがわたしと青とを結んでいる。

 あざに触れるたび、青の声が蘇る。

『千年』

『千年まっていた』

それはまるで、絶え間ない誘いのように。

 

 

 

『海のなか  2』へつづく。

 

***

 

 

次話はこちら。

 

kuromimi.hatenablog.com

 

 

 

 

他にもこんな小説を書いています。

 

kuromimi.hatenablog.com

kuromimi.hatenablog.com

 

 

小説・「海のなか」(24)

 

前話はこちら。

 

 

kuromimi.hatenablog.com

 

 

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***

 

もう秋になり始めた頃のことだった。秋といってもまだまだ残暑は厳しい。言い訳のように頭上では鱗雲が透き通り、もう秋だと主張していた。

 放課後を俺はまた愛花と過ごしていた。この頃は帰りが一緒になると、アイスを交互に奢るのが習慣になっていた。涼しい店内に人は少ない。昔からある有名な店だが、テイクアウトして外で食べるのが主流なせいかもしれない。奥の席を選べば、話を聞かれる心配もない。俺たちにとってはちょっとした穴場だった。頬杖をついて舌先でアイスを舐めながら、愛花は気怠く言った。

 「変な噂立てた奴、誰なんだろ。マジで迷惑」

 「なに、また告白でもされた?」

 「いや。一馬と付き合ってんのか聞かれた。まあ、否定したけど」

 「ふぅん」

 自然、卑屈な声が出る。なぜこんなことを直接聞かされなければならないのか。自分の立場が情けなさすぎる。

 「なかなか飽きないよな」

 「暇なんでしょ。くだんない」

 腹立ち紛れに愛花は吐き捨てると、アイスのコーンをバリッと噛み砕いた。俺もそれに釣られてアイスを舐めるが、味がしない。ずっと、口の中を空回っている言葉があった。

 「あたしを消費しようなんて、100年早い」

 舌打ちでもしそうな様子で毒づく愛花は、恐ろしくて、美しい。『きっとみんな、お前のことが好きなだけだ』そういってやるつもりだったのに、出てきたのは全く別の言葉だった。

 「なあ。告ってきたやつの中にいい奴、いたか」

 「ないない。今までほとんど話したこともない子ばっかりだったもん。あれでわたしのこと好きって。……笑っちゃうよね」

 「なんで」

 「あいつらが好きなのは、妹尾愛花って言う偶像。あたし自身じゃない。あたしを知ってる奴なんて……」

 『いない』

 末尾は皮肉なせせら笑いにかき消えていった。その笑みは中学生の浮かべるものでは到底なく、俺は身震いした。触れてはならないものに手を伸ばしてしまったときのような妙な高揚がある。そう思ったら血が沸騰して訳がわからなくなってしまった。どうやら俺には良くないものに惹かれてしまう質があるようだ。そこから先の言葉は自分のものだと自信を持って言えない。だからこそあんな大胆なことを言えたんだろうが。

 「愛花。ひとつ提案がある」

 「なに、急に」

 「俺たち付き合ってみない?」

 愛花の瞳は大きく見開かれ、俺を射抜いている。その中に小さな自分が映り込んでいるのが見えた。

 ーーーああ。ぞくぞくする。この瞳は俺のものだ。

 「え、なに。一馬ってあたしのことが好きだったの?」

 「そうだよ。だから今まで一緒にいた」

 次の瞬間、愛花の瞳は揺らいで戸惑いと、そして失望に染まった。『裏切り者』この心地よさをあんたは手放す気なのか。あんたもあたしを裏切るのか。俺は目を伏せてそれに答えた。

 手放さないために、お前を裏切る。

 「愛花が俺のこと恋愛対象として見てないなんて、わかってる。だからさ」

 俺は少し間を空けて言葉を繋いだ。

 「フリでいいんだ」

 「……ふり?」

 愛花はまるでその言葉の意味が分からなかったかのようにおうむ返しした。俺は立ち上がると、席に座ったままの愛花を見下ろして、残りのコーンを全て放り込み噛み砕いた。口内で激しい音がする。すべてを打ち壊すような音。まだ大きな塊を無理矢理飲み下すと、喉が痛んだ。

 「そう、付き合ってるふり。俺とほんとに付き合ってるって言いふらせば良い。友達多いんだしすぐに広まるだろ。そうすりゃ噂も消える」

 ーーーそして別れれば、元通りだ。

 とまでは言えなかった。そこまで無感覚にはなれない。例えそれが最善だとしても。

 「それで、一馬はいいの」

 「いいよ。これでお互い楽になるだろ」

 これが今まで続く長い後悔の始まりだなんて、その時は思ってもみなかった。愚かだ。本当に。この嘘は破れない。決して解けない呪いのように。俺の想いはこうして嘘になる。ーーーただ傍にいたかっただけなのに。他ならぬ俺が変質させてしまった。

 窓の外では、俺を責めるかのように晩夏の冷たい夕暮れが訪れていた。

 


***

 

海のなか(25)へとつづく。

 

小説・「海のなか」(23)

前話はこちら。

 

 

 

kuromimi.hatenablog.com

 

 

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***

 

例の一件から、愛花は何かと俺に話しかけてくるようになった。俺はといえば、美しい猫が俺にだけ特別なついたかのような、幼い優越感を感じて日々を過ごしていた。実際、あの日から愛花の鋼鉄の扉はほんの少しだけ開いたようだった。

 愛花は実際付き合ってみると、見た目の華やかさに反してかなり捌けた性格のようだった。何かにーーーいや、誰かに粘着したり執着することを嫌う性格。だが、一方で夢中になれるものを見つけると、他の追随を許さないほどのめり込んだ。その様は本来他人に向かうはずの興味関心が全て注ぎ込まれてしまったように激しかった。あいつのさまざまなスペックが高いのはこの性質のせいもあるのだろう。もっともその力が発揮されるのはもっぱら興味のある分野に限られた。そのせいで、食指動かないものについてはとことんできない。

 やっぱり第一印象は間違ってなかったようだ。アンバランスな存在。それが妹尾愛花だった。時折垣間見える不均衡に惹き寄せられるようにして、気がつくと愛花とともに過ごしていた。途中、2年になってクラスは別れたが、それでも交流は続いた。

 すると、愛花と出会って一年と少し経った頃から、どこからともなく噂が立っていた。

 「五十嵐と妹尾は付き合っているらしい」

 と。火のないところに煙は立たない。確かにその頃から俺は愛花にはっきりと惹かれ始めていた。いや、きっと最初から種子はあった。俺はようやくその頃になってそれが芽吹いたことに気がついたのだった。なんだか間抜けだ。ともかく、ゆっくりと気付きはやってきたから、特に慌てることもなかった。それどころか、今まで落ち着きなく浮いていたピースが上手くはまった、という満足感さえ覚えていたくらいだった。だからだろうか。今でも考えてしまう。あの噂さえなければ、今の俺たちはどうなっていただろう、と。考えても仕方ないことを考えるのは俺の悪い癖だ。こんなんじゃ、また愛花のやつに「女々しい」と言われてしまうに違いない。

 例の噂が立ったころ、俺は愛花と付き合う気はさらさらなかった。あいつが俺のことをなんとも思っていないのは明白だったからだ。愛花の中で、俺はただの男友達の一人に過ぎない。告白したところで振られるのがオチだ。何よりまだ、このままそばに居たかった。あいつと話していろんな表情を見ていたかった。あいつの隣は俺でなくてもいい。けれど、俺にしか引き出せないあいつの表情があるはずだ。せめて自分の中だけでもそう思っていたかった。

 事実、愛花が下の名前で呼ぶ男子は俺だけだった。そんなちっぽけなことに価値を見出している自分が情けなかった。きっと、愛花にとってはどうでもいいことなのだ。それをわかっていても拘ってしまう。虚しすぎる。当時はそんな内面を絶対に知られたくなくて、出来るだけ感情を表に出さないように努めていた。そのせいで元々無表情で無愛想だったのに、さらに拍車がかかった。今でも悪癖は抜けなくて、初対面で「怖い」と言われる。特に女子には。

 たとえ、俺と愛花の噂が嘘であっても他の愛花に気がある奴への牽制になるはずだ。そんな思いもあって、心のどこかで安堵していた。このまま曖昧な関係を続けていけると。

 ところが予想外の事態が起こった。愛花へ告白する奴が急に増えたのだ。

 その頃の俺は女子よりも背が低かった。背が伸びたのは中学3年になってから。当時はそのうち伸びるだろうと、大して気にしてもいなかった。だが、愛花の彼氏となるとそうもいかないらしかった。

  ーーー要するに、当時の俺は愛花の隣に並ぶには不釣り合いだと判断されてしまったのだった。

 それまでも、愛花が告白されることは時折あった。何度か断るうちに「誰とも付き合わないひと」認定されて告白されなくなった。と、愛花の口から聞いていた。あいつは不遜にも楽だとか言っていたっけ。好意はありがたく受け取れと言いたい。

 それなのに、どうして告白されるようになったのかといえば、それはこういうことらしい。「あいつがいけるなら俺もいけるだろ」って。失礼だな、おい。

 俺は焦った。どうしても「今」を奪われたくなかった。それは、愛花に対する執着なのか、それとも愛花との生ぬるい関係への執着なのか。その時は見分けがつかなかった。今なら分かる。だが、あの時は分からなかった。何も。あの頃の俺はどうしようもなく幼く、そして馬鹿だった。

 

***

 

海のなか(24)へとつづく。

 

 

次話はこちら。

 

kuromimi.hatenablog.com

 

大人になったからこそ、描けるもの。

連載小説・「海のなか」について。

 


どうも。

クロミミです。

最近やっとこさ最新話を更新いたしました、連載小説「海のなか」。今回はこちらの作品を制作するに至るまでの話を少しだけしたいと思います。お付き合いください。

 


話を始める前に、まだ読んだことのない方の為に、簡単な「海のなか」のあらすじをご紹介。

 

 

 

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引っ込み思案で無口な少女、夕凪は幼馴染に誘われ、夏休みの海に出かける。遊びの最中、海で溺れた夕凪は海の底にて美しい少年、「青」と出会うのだった。青は昔から夕凪を知っているらしい。青との出会いによって、夕凪は大きく変わり始めて…。

愛と執着の境目を描く、青春群像劇。

 

 

 

(主な登場人物)

夕凪→主人公

青→夕凪のを昔から知る謎の美少年。

陵→夕凪の幼馴染

沙也→夕凪の幼馴染

愛花→高校からの沙也の友人

一馬→愛花の中学時代の友人

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 この「海のなか」という小説は、わたしが高校一年の夏に描いた同題の短編「海のなか」が元となっています。

 その頃文芸部に所属していたわたしは、その短編を部誌に載せるために書き下ろしたのでした。

 


実は、この短編を大幅修正したものがそのまま、長編としての「海のなか」の第一章になっています。短編っぽさが結構残ってると思うの。

 

 

 

 その当初、短編「海のなか」は当時の私が描いたものの中ではなかなか良い出来(あくまで当時の話。今読んだら蕁麻疹出るほど下手。視界に入れたくない)だったのです。だから、なんだか短編のまま終わらせるのは勿体無い、という思いがあった。

 


そんなこんなで、いつかこれを長編に仕立て直そう。と思ったのです。しかし、そこからが長かった。受験勉強は、小説の片手間でできるほど甘くない。というわけで、高校在学中は中学の頃から描いていた「β」という中編以外、長めのものは描かないという結果に終わりました。

 


でも、高校の頃、短編ばかり描いていてよかったかも。とも思います。いろんな文体を試せたし、いろんな作風を試せたから。短編は一文の比重が高いので文体を磨くのにはもってこいでした。短いから構成練るのも比較的楽だし。よかったなー。

 


そういえば、わたしが短編を描くようになったのは小学生の頃。

母が

「完結できないなら、短編描けば?」

 って言ったことがきっかけだったような。あれは、今から考えてみれば当たり前だが、やはり至言だったと言わざるを得ない。小学生のわたしは、話を書いては途中やめ、話を書いては途中やめ、を繰り返していたからな。母の言葉がなければ未だにかけなんだかも知れぬ。

 


 そんなこんなでなかなか長編に生まれ変われない「海のなか」ですが、こいつが長編になるのは大学1年の夏を待たねばなりません。

 


 わたしがなぜ、そこまで描けなかったか。それは、受験により、小説を書くことを絶っていたからである。個人的にしばらく小説を描かないと、その回路が閉ざされてしまって言葉がうまく降りて来なくなる。

 


一度閉じた回路を開くのに、わたしは約半年を費やしたのだった。

 

 

 

そんなこんなで、ようやく長編となりはじめた本作「海のなか」。

 


 実は今までに、一度完結しています。完結を迎えたのは大学3年の夏。あれは、秋葉原のカプセルホテルであった……。わたしは一人旅先で、ベットにうずくまり、この作品をひっそりと完成させたのでした。

 


この時点では、すべてノートに描いていました。これは高校時代からの癖。一度は必ずノートに描いていたのです。その頃はタイピングが遅く、指が思考について来ない、というのも大いにありました。いまでも、プロットを練るときは、万年筆で紙に描きます。その方がアウトプットがスムーズなので。

 


正直、大学3年の頃のわたしは焦っていた。なぜなら、ここで完結しておかねば、いつ完結が迎えられるかわからぬ!と思ったから。

 


なぜか。

 


4年になったら就活が始まるからだ…。

 


わたしの就活がいかに地獄だったかは、「クロミミの就活三部作」マガジンを読めばよくわかるであろう。

 


 そんなわけでいちおう完成はしたものの、クオリティーはイマイチ。感情の線は追えてないわ、唐突な展開は多いわ。ついでに似たような展開も多い。台詞は上滑りしてるわ。ああ、散々な出来よ。

 


そんなわけでなんというか、不完全燃焼もいいとこだったんでござる。

 


こんな出来だからこそ、わたしはこの小説を再び書き直すことになるのでした。

 


この書き直しは正直、大学4年の夏にスタートしてはいたのですが、本格的に始まるのは就職1年目の11月。

 


きっかけは、小説を描かないことによるストレスの噴出。そんなこんなで、わたしは「海のなか」の大幅手直しに着手することになりました。

 


まず選んだ舞台は、はてなブログ

 


誰かに見せる前提なら、頑張って書くやろ、という安易な考えからこの場を選んだ。

 

 

 

まー、誰も見んけれども。それでもわたしにとっては「誰でも見れる状況である」「この小説の更新を待っている人がいるかも知れない」という状況が大事。

 


これはなかなか功を奏しました。

 


「みんなに監視してもらって頑張ろう作戦」は今もなお継続中。

 


正直、手直しどころか屋台骨から破壊して作り直すレベルで描き直してるので労力半端ないです。

 


でも頑張れるのはこの作戦のおかげ。

 


そしてその次に選んだ舞台はnote。

 


現在は、はてなブログの過去記事や「海のなか」を少しずつアップしてます。新しい記事についてははてなブログと同時更新中。

 


でも、書くスピード遅すぎてそろそろ「海のなか」のストック切れそう。更新頻度急に落ちても見放さないで貰えると嬉しいです。

 


書き直してよかったなーと思ったのは高校生の頃より、そして大学生の頃より内面の深いところまで描写することができるようになったこと。25歳のいい大人になったわたしだからこそ、描けるものがあるな、と。

 

 

 

この物語は、わたしとほぼ真反対の人間を主人公に置いています。人間味の薄い彼女が僅かばかりの人間性を獲得するという話だと思ってみてもらえたらな〜と。(何が言いたいんだ貴様)

 


わたしと真反対の人間なので動かしにくいことこの上ないですが、がんばります。

 


わたしは彼女の心情を理解したくてこの小説を書いていると言っても過言ではない。一人の人間のように奥行きのある存在にしてあげることが目標です。

 


わたしは青も理解したい。この物語は青と夕凪の謎を解き明かす物語なのです。

 


 てか、陵も動かしにくくて困ってる。ナヨくてみんなに嫌われないかなって。でも、これくらい情けない子もいた方がいいと思うんだよ。でも可愛いうちの子なのです。どんなにダメで情けなくてもお母ちゃんがついとるからな。頑張って最後まで走るんやで。まあ、派手にこけても助けんけども。

 


正直、一馬は実際こんなやついねーよ。って思う。(描いといてそれはどうなん)あいつはわたしの助けとかいらなそうだよな。うん。

 


この作品を描く上で、正当に恋人と名がつく関係、友情と名がつく関係をあまり描かないようにしています。

 

 

 

現実でも、はっきりと関係に名前をつけることは難しいはず。無理に名前をつけようとした瞬間、壊れるものもある。わたしには実際そういう経験があります。

 


名前をつけた瞬間、その関係は嘘になってしまうような。

 


わたし自身と同じように不器用な登場人物諸君が、どのように関係性を紡いでいくのか。見守っていただければ幸いです。

 


ただいま、はてなブログでは最新話「海のなか」(22)を更新済み。近日中に23も更新します。noteにてご覧の方はわたしのホームよりブログへ飛んでみて下さい。今回は、一馬視点の過去の話を描いています。

 


一馬と愛花動かしやすすぎて困るわー。

 


そんなわけでまた今度。

 


ありがとうございました。

小説・「海のなか」(22)

 

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前話はこちら

 

kuromimi.hatenablog.com

 

 

 

第七章  「追憶」

 


 愛花と出会った時から、きっともう手遅れだった気がする。

 今から思えばあれが、一目惚れというやつだったのかもしれない。もう昔すぎてよくは覚えてない。けれど、いくつかの場面が断片的に焼き付いている。特に、中一のあの瞬間のことだけはやけに鮮明で今でもくっきりと思い出すことができた。愛花を初めて目にした瞬間の印象。

 あいつの笑ったうっすらと赤い口元とか。綺麗な、そのくせ人を値踏みするような目とか。

 ーーーああ。こいつはきっと凄く頭が良くて、そして独りなんだ。

 あの時、気づいてしまった。

 どこかちぐはぐな印象に惹かれて、いつのまにか一緒にいるようになっていた。とは言ってもそれは特別なことじゃなかった。愛花の周りにはいつだって人が群がっていた。それは、男だったり、女だったり色々だったけれど。その誰とも深く付き合う気はないような素振りが気になった。誰とも均一に仲が良い印象。それって結局、親しくしないのと同じじゃないか?それに気がついた時は、ただ思った。ーーーすげえって。俺は自分で言うのもなんだけど、裏表とかない方だと思う。いつも誰にでも同じように振る舞ってる。それが当たり前だと思ってたんだ。あいつを知るまでは。人と自分との間に明確な線を引いて、その上で悟らせないような聡さが愛花にはあった。

 もちろん、他のやつだって使い分けしてると思う。そんなこと分かってる。でも、あいつはそんな生易しいもんじゃなかった。あいつは常に演じている。しかも、演じているとほとんどのやつは気がつかない。それは、自分への冷淡さのようにも見えた。自分の本質は生きていくには邪魔で不要なものだという切り捨て。

 もっと知りたい。

他人にそんなこと思ったのなんか、あいつ以外後にも先にもいない。あれからもう何年も経ってるのにな。

 知り合ってしばらくした頃、愛花がぽろりと零した言葉は今でも耳に残っている。あれは、夏の日だった。もう夕暮れなのに、ムッとするような熱気があたりには立ち込めていた。その日は学校帰りに偶然愛花と会った。そうして、暑いからと言って俺がアイスでも食おうと誘ったんだったか。あいつはあの頃から、たまごアイスばかり食べていた。とは言っても、それは出会って間もない中一の夏だった。だから、あの頃の俺はあいつの好みなんか知りもしなかった。

 入店すると、愛花の友達だか知り合いだかがいて、ひとしきり話して立ち去っていった。それは見慣れた光景のひとつだった。

 立ち去る女子たちの後ろ姿を見送りながら、思わず呟いていた。

 「やっぱすげーな。俺だったら疲れそうだ。妹尾みたいに話続かねーわ。さっきの子たち、友達なんだろ?どこでも友達いるのな」

 「……さあ?あっちはそう思ってるのかもね」

 「え、なんだよそれ」

 「だって、多分数回しか話したことないし。名前も思い出せないし」

 「は?マジ?」

 俺は言いながら、溶けきらぬままのアイスを飲み下した。塊のアイスが身体の中を滑り落ちていくのと一緒に腹の底が冷えてゾクっとした。

 「じゃ、なんであんなに話したんだよ。よく知らないやつに取る態度じゃなかったろ。疲れねぇ?そんなの」

 すると、愛花は深いため息をついて頬杖をつくと在らぬ方を見つめながら投げやりに言った。

 「だって、面倒臭いじゃん」

   「は?」

 「泣かれたら、面倒臭い」

 どうでもいいもののように放り出された言葉は、今でも忘れられない。口にしたあと、愛花は伏せていた目を見開き、真っ直ぐに俺を見た。おそらく、漏らすつもりのない言葉だったのだろう。うっかり気を緩めた自分に驚きながら、どうやって口止めしようかと考えを巡らせているようだった。

 そんな視線を感じながら、俺は心を落ち着けるようにアイスを一口含んでまた、嚥下した。そうして短くその視線に答えた。

 「それはちょっと、わかる」

 まだ口内に甘みを感じながら相手を見つめ返すと、じっとこちらをまだ注意深く観察していた。そうして、ニヤッと笑みを作った。

 「面白い人だったんだ。五十嵐って」

 「そりゃどうも」

 「ねぇ、五十嵐の下の名前ってなんだっけ」

 「覚えてないのかよ」

     「だって男子の下の名前なんか呼ばないし。覚えてる意味、ない」

 あいつは、いいから教えろと挑みかかってくるような強い眼をしていた。

  「……一馬」

  「あっそ」

  聞き出した途端、そう言って興味を失ったようにアイスを食べ始めた。あいつの一挙一動に振り回されることに、俺は少し苛立ち始めていた。それきり特にこれといった話もせず、アイスをただ黙々と食べるだけだった。

 その日、別れる間際に名前を尋ねられた理由はわかった。

 「またな」と言って俺が踵を返した途端、愛花が言った。

 「一馬」

 「っえ?」

 俺はあの時ほど驚いたことはなかったと思う。きっとあの瞬間、緊張と驚きに顔は赤らんでいたんじゃないだろうか。少なくとも、おれの脳みそは煮上がっていた。

   「明日から一馬って呼ぶから」

 「はあ」

 「あたしのことも愛花って呼んでよ」

 そう言い捨てて、返事も待たず愛花はひらりと自転車に跨り去っていった。

 碌でもないが、これがあんな気難しいやつとの腐れ縁の始まりだった。

 

 

海のなか(23)へとつづく。

 

次話はこちら。

 

kuromimi.hatenablog.com

 

 

読書の意義とは。

 

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昔から、教育現場において

 


「読書をしなさい」

 


と言われる。

 

 

 

 


読書の効用とはなんだろうか。

 

 

 

これはいくつか挙げることができると思う。

 


まずは、文章の読解力が上がる。もしくは自分の知らない知識を知ることができる。または、知らない考え方を取り込むことができる。ついでに語彙が増え、文章の構成が上手くなる。

 


これらが、学校教育において読書が推進される主な理由だ。

 


だが、この理由だけでは小説や詩や戯曲といったものを読む意義を十分に説明できない。

 


わたしにとって、読書をする最大のメリットとは

 


「深くものを考られるようになること」

 


である。「読書の意義とは?」という問いは「教養を身につける意義とは?」という問いと同義だ。

 


読書をするという行為、もしくは映画や絵画、音楽に触れる……要するに教養を身につける行為は全て自分自身に跳ね返ってくるものだと経験上、感じている。

 

自分への跳ね返り、とは教養に触れる経験の中で自分の心に残った物事、と言い換えることもできる。

 


自分はこの本のどこを素晴らしいと思ったのか、それはなぜか、この登場人物像をどう受け止めたか…などと。

 


読書をする→自分自身への跳ね返りを受け止める

 


この過程で我々は自分自身と向き合わざるを得なくなるはずだ。

 


少なくともわたしはそうだった。

 

 

 

すると、いつもは見えない自分や他人の輪郭までもがより深く、そしてはっきりと見えてくるようになる。

 


これを洞察という。

 

 

 

この作業を繰り返すことで、より深くものを考えることが可能になるはずだ。

 


そして、自分自身を見つめることは借り物ではない自分の考え方を醸成することにも役立つ。

 


それはまるで地中深くまで伸びた根のように自分自身をしっかりと支えてくれるはずだ。

 


こうした状態は、自信を持つことにつながることだろう。

 


よく、「おれは◯◯を読んでいるから」という部分だけに自信を持っている子を目にする。かつての幼いわたしもそうだった。

 

 

 

無論、何かを最後まで読み切った。そのことは素晴らしいことだ。

 


ただし、そうした自信というのは往々にして儚く脆いものだ。かつて経験した私が言うのだから間違いない。

 


上には上がいるし、何より読書をしない人間にその誇りは理解されない。

 


だからこそ、ここで言いたい。

読書をした、それだけにとどまってはならない、と。

 


そう。大切なのは読書の後なのだ。

 

 

 

自分の中で読書によって得た経験をどのように消化したか。本当に大切なのは、その部分なのだと考えてみてほしい。

 

 

 

そうすれば、さらに読書は面白く、濃くなるだろう。ひとつの本の中に無限の宇宙のような広がりを感じるのではないだろうか。一度でいい。一度でいいから体験して欲しい。

 


あの快感を一度知れば、やみつきになる。

それだけは約束する。

 

 

読書をすることは世界を知ること。

 


世界を知ることは自分を知ること。

 


では、なぜ他の教養ではなく読書なのだろうか。

 


本を読むという行為は、比較的自分の意思で辞めたり始めたりしやすい。自身のペースで行うことのできる行為だ。

 


また、一度本を手に入れてしまえば、時間制限も存在しない。読み終わるまでの時間を自由に操ることが可能だ。

 


この点で他の映画や絵画に音楽に勝ると考えている。(映画や絵画そして音楽にも読書より優れた点は無論あるが、いまは割愛する)

 


例えば、あなたが映画を見ていたとする。映画の今見た部分を何度も見たいと思う。みながら、なぜそこが自分に引っかかったのか、考えたいと。しかし、そうするためにはわざわざ巻き戻さねばならない。容易に何度も見ることはできない。

 


しかし、読書は違う。

 


考えたいなら、本から目を離すだけ。

もう一度読みたいなら、視線を動かすか、ページを捲るだけ。全て一動作で完結する。

 


行う動作は少なければ少ないほど良い。

思考の線が途切れないからだ。

 


より深く潜るには集中力が必要だ。

 


一度切らした集中をもう一度取り戻すことは容易ではない。

 


なにより、読書はシンプルだ。

 


本さえさればどこでも出来る。

 


テレビがなくても、美術館がなくても、再生機がなくても、できる。

 

 

 

移動中でも、休憩中でも、どこでもできる。

 

 

 

 


最も身近でハードルの低い教養が読書であると言える。

 


だからこそ、わたしは読書をお勧めしたい。

 


より深い知恵を身につけることは、明日のあなたを助ける力強い根や幹を成すはずだからだ。

 

 

 

 

 

 

掌編小説・『死の明日』

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 液晶が青白く発光し、目を灼いた。
 もう夜が深いーーー。
 眩さにそう悟った。部屋の片隅からはラジオの微かな音が聞こえていた。音量を絞っているので、内容は聞き取れない。それで構わなかった。耳鳴りがしないのであれば。いつもは気にもとめない沈黙が、今夜はやけに煩かった。
 タブレットを手放して、横たえた身体を仰向けにした。暗い1Kはやけに広く感じられる。端末の光が白い壁紙に反射して、闇に濃淡を生み出していた。光が鬱陶しい。やけに不安定な夜だった。
 ラジオの声が耳につき、新たな不快を呼んだ。もう何時間も眠れないままだ。それは、この蒸し暑さのせいなのか。それともまた別の理由か。せめて暑さを取り除こうとスイッチを入れた弱い扇風機の風さえも、眠りを邪魔する。摩耶は冷えた足を擦り合わせ、また何度目かの寝返りを打った。そうして、湿ったシーツにしがみつくように目を閉じたその時。どこかからか、音がした。

ブツッ

ついで、水が勢いよく迸るような音を間近で聴いた。
何だ?
耳に手を当てると、なぜか生ぬるくそしてべっとりと濡れている。汗にしてはやけに重い。濡れた手を目の前にかざすと、赤い。血だ。瞬間、息も忘れて見入った。液晶の薄灯にてらてらと光るそれ。その液体は、間違いなく首筋から吹き出したものだった。痛みはない。痛みはないが恐怖に支配される。
 どうすればいい。どうすればいい。どうすればいい。どうすればいい。どうすればいい。どうすればいい。
ーーーもうわかっているじゃないか。
ーーー何を?
ーーーこんな夜が一番近いんだ。
『死に』
 唇が我知らずそう動く。
 ああ。そうか。
 乾いた感慨とともに、意識は闇へと堕ちていった。

※※※

 手のひらが汗ばんだ首筋に触れていた。摩耶は自分の目が開いたことを改めて認識した。何度か瞬きを繰り返して、確認する。
 これは現実、と。
 真夜中の室内は文目もわかぬほど暗い。目を開いても閉じた眼裏を見つめているようだった。だが、今は必要な作業だった。
 理解は後からやってくる。
 あれは、夢だったのだ。
 恐る恐る首に当てていた掌を目の前に翳す。やはり何も見ることは叶わなかったが、手を握る動作でまとわりつくものが汗だけだということを悟った。詰めていた息がようやく吐き出される。
 緩慢な動作で身を起こすと、膝を抱いた。じっとりと湿気を纏った肌が張り付く感覚は心地よいものではない。それでも、そうせずにはいられなかった。そうして、腕の合間にゆっくりと頭を沈めながら、摩耶は物思いに落ちていった。
 あんな夢を見た理由は、もう目覚める前から分かっていた。
 どうやら、また、死にたくなっているらしい。
 どこか他人事のように思った。
 ーーーいつになったら終わるのだろう。
 いつしか、摩耶の頭の隅をそんな想いが占めるようになっていた。おそらくは二十歳を過ぎた頃。明確な契機はなかったように思われる。ただ、気がついてしまった。永遠に続く退屈な生は、ゆっくりと首を絞めるように、いつか確実な死を齎すだろうということ。
 ある日突然、「自死」という選択肢が自分の生活に入り込んできたのだった。するりとさりげなく。それは、あまりに自然で強烈で。初めは随分と心を乱したものだった。けれど何年か経った今となってはほとんど習慣に近かった。どうやって死ぬかを考えるのは。
 出来るだけ苦しくない方が良い。それにいつ死ぬかも大切だ。出来るだけ意味のない死が良い。ただ死んだというだけで、意味を見出されるなんて。馬鹿馬鹿しいにも程がある。だからこそ、夢中の死は理想的だった。痛みはなく、鮮烈で、空虚だった。
 なぜ自殺なのか。理由は明らかだった。何か他のものに殺されることを許容できないから。それが他人であれ、病であれ。事故であれ。摩耶の高すぎる自尊心は、己の死すら操りたがった。
 束の間、幾度もなぞった思考の向こう側で、蘇ってくるものがあった。
 『昨日、リストカットした』
 その声は、学生時代の友人のものだった。いつもそう言っては、リストカットの痕を見せてきたのだった。あの頃、摩耶は密かに嘲笑っていた。
『どうせ、死ねないくせに』
それは確かに本当だったのかもしれない。あの友人が死んだという話は聞かない。あの頃は嘲笑うことができるほど、死と縁遠く生きていたのだ。それを思うとただひたすら眩しく、切なかった。過去がとても遠い、隣人のように感じられて。
 こんな風に、死を身近に感じるようになって思うのは、痛々しい友人の在り方こそが少女に相応かったのだろう、ということだった。あれはきっと自己承認欲求の裏返しに過ぎない。自分もそうであればよかったと心の底から思った。
 摩耶の場合はまったく違った。ただ温度の低い絶望感に浸されて、ゆっくりと自身が腐っていくのを眺めている。目を逸らすことのできない地獄が足元にゆるゆると迫るのを感じながら生きている。死がこんなにもゆっくりと訪れるものだとは、知らなかった。これも、緩やかな自殺と言えるのだろうか。死を感じるようになってからは、ただひたすら時間を稼ごうとした。退屈の入り込む余地のない場所まで自分を追い立てるように。必死で何かに没頭する自分を演出し続けた。あの頃はまだ、死にたくないという思いが身体を突き動かしてくれた。けれど今では、その衝動すら失せつつある。
 もう、生きる意味がない。
 理由なく生きることは、二度と治らない病の痛みをずるずると長引かせるようなものだ。
 いつ死ねるのだろう。
 ずっと考えているのに、まだ死は訪れない。
 一体、なぜ。
 そこがいつも、思考の行き止まりだった。何度も行き当たって、足の止まる場所。不意に、顔を上げるとカーテンの合間から朝日が差していた。暗い部屋はそこだけ白く染め抜かれ、様変わりした。目に沁みるような光だった。
 「くそっ……」
 衝動的に悪態をつくと、再び膝に顔を埋める。まだ抗っていたかった。本当は、分かっていた。死ぬにはまだ、死を知らなさすぎる。恐ろしいのは、知らないから。
 ああ。また明日が始まってしまう。否応ない明日が。いつか来る、その瞬間を待ち侘びている。こんなにも死は近しく寄り添っているのに。あの甘やかな吐息を吸い込むのは、まだ先。
 そうして緩慢な死を味わいながら、摩耶はまた一歩、歩き出した。ゆっくりと満ちる、絶望に耳を傾けながら。

 

わたしが自己啓発本を読まない理由4つ。

 

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自己啓発本を読まない4つの理由。

 


よく、自己啓発本を読む人を見かける。

 


見るたびわたしは思う。

 


なぜ読むのだろう?

 


と。わたしはこれまで二十五年の人生の中でほとんど所謂「自己啓発本」と呼ばれる類のものを読んだことがない。

 


ここで言う自己啓発本とは、「○○するために必要な○○のこと。」という感じの本だと思って欲しい。

 


要するに、誰かがより良い人生を送るための秘訣のをまとめた本のことだ。(哲学入門書などは別として。哲学書はちょくちょく読むことがある)

 

 

 

なぜわたしは自己啓発本を読まないのだろう。

これはいくつかの自己分析に基づく。

自分語りになるので、暇な人は付き合って欲しい。

 


一つには、書いてある全てのことが自分に当てはまるとはとても思えないからだ。著者は確かにそこに書いている方法を用いて、成功したのかもしれない。

 


しかし、著者はわたしではない。

 


わたしのことを微塵も知らない人間に言われたことを鵜呑みに出来るほど、わたしは素直ではない。

 

 

 

二つ目に、わたしの性格が理由として挙げられる。

わたしは昔から〜すべきだ、と言われるのが大嫌いだった。同じように〜してください、と指図するのも大嫌い。(なので、新しい職場で部下を持つようになって超苦しんでいる)

 


こんなわたしが人が提示したものを参考に生き方を変えようと思うだろうか。

 


否である。

 

 

 

三つ目にはわたしの人生設計によるものが多い。私には生きているうちにクリアしたいミッションがいくつかある。その一つは例えば今の職に就くことだった。

 


私は基本的にそれ以外のことをしたいわけではないし、するつもりもないのだ。

 


私にとって生きるとは、自らの欲望を満たし続けることだ。もしも満たすことができなくなれば、そこが私の終わりだろう。

 


自らの欲望を具体的な形にしたのがミッションであると言える。

 


そして、そのミッションの中に例えば社会的地位を得る、お金持ちになる、などは含まれない。社会的ステータスを得ることにはさほど興味はないからだ。

 


世の自己啓発本の多くは、資本主義社会で幸せを得る方法を説く。それは多くの場合、わたしの欲望の方向とは合わないことが多い。だから、私の食指は自己啓発本に伸びない。

 

 

 

 


四番目には自己分析で大体のことはなんとかなる、と思っているからだ。

 


自己啓発本とは、どう生きるべきかわからなくなったときに読む本だと思う。

 


私は今まで、「どう生きるのが正しいか」を考えたことがない。「どう生きたいか」しか考えてこなかった。例えそれで失敗するとしてもそこまで込みで覚悟すればいいだけの話である。

 


よく、自分が何をしたいのかわからないと言いながら自己啓発本を読む人がいる。

 


私はそれを見ながら、「お前がいますべきはそんなことじゃねーだろ」とちょっと苛ついている。

 


そういう人がなぜ自分との対話を軽視するのか、私には理解できない。本を読む前に、金を払う前にできることがあるだろう。

 


自分のことは自分しかわからないのに。なぜ他人がそんなものを知っていると思っているのか。

 


一番身近な他者は自分自身だ。

 


それと向き合うこともせずに、生き方がわからない?意味がわからない。

 


自分がこれから何をすべきかは、自己分析で大概わかる。わからないのなら、まだ時が来ていないか、自己分析が甘いかのどちらかだ。

 


生き方に正解はない。

 


これが私の持論だ。

 

 

 

生きるという複雑怪奇なことを、他人の物差しを持ってきて、正しいか正しくないかの二択で分けようとするなんて。そんな暴力的なこと、私にはできない。

 

 

 

皆様はどうだろうか。