あの時味わった 幸福な味を
私は今でも忘れられないでいる
あの味はどんな味だったかしら
時々 尋ねられることがある。
一体何がそんなに欲しいの、って
そんなのわからない
わからないけど欲しいんだもの
本当は欲しいものなんてないんでしょう、
なんていう人もいるわね
でも 欲しいの
ほんとよ
私にとって生きることは 欲すること
愛が欲しい 罪が欲しい 心が欲しい
満たされないことが欲しい
私は欲望が欲しい
満たされるために満たされない
満たされてゆく時の虚無にも似たしあわせが
私を夢中にさせて
でも
ここは袋小路
そう気がついた時にはもう空っぽだった