KUROMIMIには本が足りない。

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活字がないとダメ系ヲタク。小説・音楽・詩・ときどき映画。自作の小説も書いてます。

詩・「旅立つ日」

うみにどぷん、と溺れてしまったみたいに列車の窓は黒い。

 

みんなはまだ目覚めない。

此処にいるひと以外はみんな夢の中で溺れている。錯覚と実感の狭間で。

 

手につかんだものは全て霧散する。暗闇に塗りつぶされてしまうから。

 

この町の4時半をはじめていま、生きている。この朝は私だけのもの。

いつもは聞こえない電車の軋みが空間を満たした。

 

母はもう眠りについただろうか。私の心配ばかりしているあのひと。

 

「いっておいで」

 

母の声を思い出す。彼女は目覚めて最初に私の名前を呼んだ。あのあたたかさをいつか、手に入れてみせる。

 

それが私を大人にする。

 

今はまだ、はやすぎるけれど。

 

 

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