KUROMIMIには本が足りない。

KUROMIMIには本が足りない。

活字がないとダメ系ヲタク。小説・音楽・詩・ときどき映画。自作の小説も書いてます。

詩・空洞の記憶

 ある夜

 


 音楽を聴いて歌っていると

 


 あの部屋の味がした。

 


 かさかさと乾いたひとりの 贅沢な味が。

 


 その時やっと思い知ったのだ。

 


 『もうあの場所には戻れない』

 

 

 

同時に 虚しかった

 


きっと私はすぐに忘れてしまう

 


わたしはわたしの薄情さが憎かった。

 


けれど 薄情さを快いと感じてもいるのだ

 


どこまでも身軽でいたいなら

 


それがいちばん

 

 

 

 


今までに繰り返した

 


『また会いにきます』

 


の中身は空洞

 


言うたびに薄く脆い何かが

 


胸の奥に溜まっていくような

 

 

 

会いたい人は いない

 


会えない人は いない

 


あの世よりも遠い この世を感じて